第1回: 帰国子女という名の派遣社員

夫は元々男友達が少なかった。

結婚してからも、地元の友達と遊ぶこともなく、友人とは年賀状のやり取りのみ。

 

夫の会社に帰国子女というふれこみの派遣社員が人事部に入社したと夫から聞いた。

夫は、自宅で会社のことや一日あったことを私によく話していた。

 

「5月に入社した派遣の子、結構面白い経歴なんだ」

「Wさんったら、ちょっと風変わりな子で、たしか40才、独身」

「40歳独身って、やっぱりちょっと個性的かなー」

「Wさん、40歳すぎてるのに、スヌーピー柄のレスポートサックのリュック背負って会社きてるんだよ」

 

と何気ないやり取りをしていた。

ちょうどそのころ、夫の会社は資本が100%外資系になり、社内でも英語が必要になってきた時期もあった。

 

そんなWが、夫の不倫相手になるとは、その時は夢にも思わなかった